大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)2050号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人三宅修一の上告趣意(後記)について。

所論は、刑訴四〇五条所定の上告理由に当らない。そして「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定」第一七条(改正前)2によれば、合衆国の軍事裁判所及び当局が日本国内で専属的裁判権を有するのは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族であって、日本の国籍のみを有する家族はそれらの家族から除外することを定めている。従って仮りに弁護人主張のように、被告人が在日アメリカ人である米軍伍長ケネスと正式に結婚し合衆国軍隊の構成員の家族となったとしても、アメリカの国籍をも取得したという事実が認められない本件においては、被告人が日本の裁判権に服することは明らかであって、所論は採用することはできない。

その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例